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カフスブログ

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2012.3.3

2012/3/3
前橋の敷島エリアに住む以上どうしてもやっておきたかった企画が実現した。
前橋の数少ない誇れる名建築。フリッツアートセンター敷地内にあるカフェリッツの再生だ。

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この建築は今から27年前に竣工した。当時の建築流行を存分に取り入れたポストモダン建築。
この建築は四角いコンクリートのボックスに丸。三角。四角が挿入された形態。そして各所をコンポジションカラーでまとった実にポストモダンらしくバブリーな建築。
だがそのコンセプトは明快で解りやすくこのカフェに思い出を持つ人は沢山いる。
同じ敷地内にあるネオダダなジャンクアート的建築の絵本屋フリッツアートセンターとセットでこの敷地はある種特異な空間となっているがとても居心地がよく美術館にいるような感覚さえ覚える。

しかし数年前にカフェリッツに別のレストランがテナントとして入った際、コンポジションカラーを黒く塗ってしまいこの建築のコンセプトが変わってしまった。
さらにそのレストランは続かず空き店舗となってしまいこの建物を昔から知っている人は建築関係者のみならず皆がっかりしていた。

何とかならないかな?

ずっとそう思っていたところいつも世話になっているインテリアショップの入店が決まり幸運にも内装の相談を請けた為、即座に再生を前提に提案させて頂いた。改装は最小限にとどめたいとオーナーでもないのに勝手な注文までつけた。オーナーもこの建築への思い入れは強くペンキを塗る事を快諾頂けた。

どうせならばこの素晴らしい環境をアートパークにしようと話しが膨らみ、それならば業者に頼むのではなくみんなで作り上げよう。そうすることで与えられた環境を楽しむ従来型の公園ではない共有の財産としての公園ができるのではないか?と考えた。

とくに大々的な募集はしなかったが12名の有志ボランティアが集まりついに夢が叶った。
人の繋がりは素晴らしい。みんなこの建築に思い入れのある方達。

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ペンキが塗られどんどんプロトタイプに近づく中で思い出が蘇っていく。変化が解りやすいペンキ塗りという作業の為みんな達成感に包まれ感無量だった。

同日、近所で住宅の解体工事をしていた。
同じ一日という時間で僕らは建築を元に戻し、近所の住宅は跡形も無くなくなった。

建築はまちづくりの一躍を担っている。住宅一つで簡単に町並みは変わってしまう。
こうして建築を保存し市民に建築の歴史を伝え守っていくことも建築家の仕事なのだと改めて感じた。これからも機会があれば再生の仕事をやっていきたいと思う。

最後に塗装のレクチャーをお手伝い頂いた幼なじみの塗装屋から、自分が設計した建築でもないのになぜこんなにも思いがあるのか?と聞かれた。

なぜだろう。しっかりとしたコンセプトをもって設計されているからこそそう感じるのだろう、建築にはそういう力がある。自分もしっかり設計せねば!と背筋が伸びた。

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このアートパーク構想に終わりは無く前橋文化を創造する共有の場をみんなで作っていく。
新しいライフワークがまた一つ増えた。
# by kahs-atelier | 2012-03-07 03:53 | architecture